松木玖生、中野伸哉...U-20W杯の年に活躍が期待される次世代スター候補たち (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 鳥栖の川井健太監督の言葉は、核心を突いている。
 
 すでに鳥栖から欧州に進出した福井太智(バイエルン・ミュンヘン)も期待のMFだろう。昨年は高円宮杯優勝の原動力になるなど、バイエルン関係者のラブコールを受けた能力は伊達ではない。特に長短のパス精度は際立ったものがある。ただし、欧州遠征のスペイン戦で、前半でタックルの入り方が悪く退場になったように、実戦経験が必要だ。

 山根陸(横浜F・マリノス)もMFとして中井、福井としのぎを削ることになるだろう。沈着冷静な性格はボランチらしく、ピッチでも弱点が少ない。Jリーグ王者でポジションを取れたら、一気に世界が近づく。

 大化けを期待したいのが熊田直紀(FC東京)か。まだ足りないことばかりだが、ストライカーの風体がある。欧州遠征のフランス戦で決めたPKひとつとっても、実にふてぶてしかった。

 北野颯太(セレッソ大阪)のドリブルの切れ味は非凡だ。ルヴァンカップで3得点を記録し、高校生ながらニューヒーロー賞を獲得している。関西には恐れ知らずに仕掛けるアタッカーが出やすい土壌があるが、その系譜に連なると言える。

 また、欧州遠征メンバーではないが、中村仁郎(ガンバ大阪)は左利きアタッカーで、久保に近いプレーテンポを持つ。勝負の年となるだろう。

 U―20アジアカップで上位4カ国に入って代表の座を勝ち取れば、U-20日本代表は5月にインドネシアで開催されるU-20W杯に出場することになる。恐れる敵はいない。十分に世界が狙えるタレントが揃っている。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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