J2ウォッチャー平畠啓史さんが紹介する2022シーズンの優秀選手たち。「全試合フル出場」「チームを仕切っている」「ザ・フットボーラー」 (3ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

<MF部門>

河原創(ロアッソ熊本)

 今シーズン、本当に目立った選手です。自分でボールを集めて、散らして、守備ではボールを刈り取って、危ないスペースを埋めてと。

 それだけじゃなく、クロスもスルーパスもすばらしい。精神的にも戦える最高の選手。今年のJ2の、中盤の中央の選手としては、鉄板ですよね。チームを仕切っているし、ゲームも仕切っている。凄まじい存在感。大木監督のサッカーの肝中の肝です。

 足の速さが目立つとか、体の強さが目立つとか、そういう目立ち方じゃなくて、試合を支配する目立ち方なんです。味方へのパスも本当に気が使えているし、守備もちょっとしたところをサッと埋めたり、気が使えているんですよね。

高宇洋(アルビレックス新潟)

 高選手も、仕切っている感じが半端ないですね。

 男臭いのもいいですよ。チームメイトに「やって来いや!」「勝負して来いや!」的な感じのパスを出すんです。味方が上がったスペースを使われても、「俺が守ったるわ!」みたいな感じが出ていてかっこいんですよ。ああいうふうに仕切れる人がいると、サッカーに限らず会がまとまりますよね。

 チームが苦しい時に顔を出してくれる。いい時しか顔出さない選手っているじゃないですか(笑)。高選手は苦しい時に顔を出して、コンパクトなスペースでも打開していくようなパスを出せるんですよね。

和田拓也(横浜FC)

 本当効いてますよね。ここに居てほしいというところに必ずいる。苦しいところに出てきてくれるんです。

 和田選手はパスやボールコントロールの技術もあるんですが、相手に寄せたり、奪ったりの技術もものすごく高いんですよね。彼がボランチの一角に入るとチームが安定します。

 後ろで構えて守っているだけじゃなく、前に行ってバーンってボールを奪いに行く力強さは、やっぱりJ1でやってきた選手だなと思わせます。今シーズンはシーズンを追うごとに存在感が増していって、欠かせない選手になりました。

森田晃樹(東京ヴェルディ)

 ボール扱いがうまい「ザ・フットボーラー」という選手ですよね。体は小さいですが、ボランチに入るようになってさらによさが出てきました。

 ボランチになってから、自分の形じゃない状況でボールを受けても、そこから自分の形に持っていけるシーンが増えたように思います。とにかくボールを運ぶのがうまくて、ドリブルでボールが体から離れない。いい場所で受けて、スピードをそこまであげるわけでないのに、うまく前進できてしまう。どこで受けてどう運んだらチームが前進できるかを、わかってやっていますよね。

 また、肉体的威圧感はないんですが、ものすごく体を張って相手を止めるんですよ。その姿は、女性だったら‟キュン"としちゃうと思います。リーグ戦終盤の馬場晴也選手とのコンビがよかったですね。馬場選手にはガン! と行く強さがあって、森田選手はドリブルでスーっとボールを運んでくれる。

 ドリブルと言えばフェイントで相手を交わすイメージがあるかもしれませんが、そうじゃなくてボールを丁寧に運んでいける選手。全然肩に力が入ってなくて、姿勢がいいから周りがよく見えているんででしょう。そうなると相手選手も寄せづらいですよね。

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