2022シーズンのJ2で活躍したのは誰か。日本屈指のJ2マニア平畠啓史さんが教える「足の回転が漫画」「文句なしの大活躍」だった選手たち

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

平畠啓史の勝手にJ2アワード優秀選手 後編

前編「GK部門・DF部門・MF部門」>>

日本屈指のJ2ウォッチャー平畠啓史さんが、今季J2で活躍した優秀選手を紹介する後編。こちらでは、サイド、FW、若手の部門で目立った、おススメの選手たちを語ってもらった。

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横浜FCでホットラインを作った小川航基(左)と長谷川竜也(右)横浜FCでホットラインを作った小川航基(左)と長谷川竜也(右)この記事に関連する写真を見る

<サイド部門>

井上健太(大分トリニータ)

 特にリーグ戦終盤がすごかったですよね。特筆すべきはあのスピードです。ビュンビュンです! またビュンビュンに飛ばしたあとの仕事の質が、シュートにせよクロスにせよ格段に上がりました。

 スピードのある選手ってたくさんいますが、最後に何ができるかを僕は大事にして見ています。井上選手が速いのはわかってましたが、最後の質の部分が格段に上がったのが印象的でした。中央で待っている選手も、井上選手ならクロスが上がってくるだろうなと信頼していると思います。

 初めてサッカーを見る人でも、わかりやすいすごさ。ひと目見たら「あいつ速ぇ〜〜な!」となると思います。そういうサッカーの魅力って本当に大事だと思ってるんで、好きな選手ですね。

山下諒也(横浜FC)

 この選手も速さがやばいっす! 足の回転の速さが漫画です(笑)。漫画で足の速さを表現する時って、足が丸になってグルグル回るじゃないですか。まさにあんな感じなんですよね。ストライドの広さではなく、足の回転数で一気にブワーっと行く走りで相手をぶっちぎるんです。

 自らドリブルで仕掛けるのもすごいんですが、後ろからのロングフィードに対して相手のDFとかけっこになった時に、あの速さでぶっちぎっていく。あと「負けたくない」という気持ちがものすごく伝わってくるのが好きです。

 身長の小さい選手が体の大きい選手に向かっていくのって、見ていて痛快じゃないですか。今シーズンはスパイクが脱げて裸足でシュートを決めるシーンもありましたので、インパクトも残しましたね。

 横浜FCはイサカ・ゼイン選手や近藤友喜選手などサイドでいい選手が豊富で、毎試合誰が出てくるのか楽しみにしていました。山下選手は途中から出てきても試合の表情を変えてしまえる選手です。

杉山直宏(ロアッソ熊本)

 カットインしてからの左足は魅力ですよね。パンチ力があります。形があるので、見ているほうもカットインした瞬間、期待感がありますよね。

 ボールの置きどころがうまくて独特です。相手との間合いのとり方がうまい。シュートもスピードがありながらカーブもかかっていて、ゴールに吸い込まれていくような軌道なので見ていて気持ちいい。

 人を使うのもうまいので、コンビネーションでも崩していける。カットイン型の選手って形があって周りが見えなくなっちゃって、シュートを打つのがバレバレの選手っているじゃないですか。杉山選手は周りも見えていて、うまく使えるんですよね。

太田修介(FC町田ゼルビア)

 今シーズン11得点。速いんですが、速いだけでなくチーム全体のスピード感を上げられる選手。以前もスポルティーバで話しましたが、速いのにチームのなかで浮かないんですよね。

 独りよがりじゃないスピード感。躍動感が本当にあって、軽いスピードじゃなくて、迫力があって重みのあるスピード感というか。

 野球のストレートにも軽い重いってありますが、スピードがあって軽い選手って当たられると飛ばされてしまうことがあるじゃないですか。でも、太田選手は当たられても飛ばされない。強さのある速さですよね。

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