2022シーズンのJ2で活躍したのは誰か。日本屈指のJ2マニア平畠啓史さんが教える「足の回転が漫画」「文句なしの大活躍」だった選手たち (2ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

<FW部門>

小川航基(横浜FC)

 今年は文句なしの活躍ですよね。26点も取ってダントツの得点王ですから。

 サッカーって、みんな「決定力不足だ」って簡単に言うんですけど、そもそも簡単に見えるシュートでもなかなか入らないんですよ。でも今年の小川選手は、いい形に入ったらしっかり決める。

 簡単に見えるシュートを外さないってすごいことですよ。ゴールだけじゃなくてヘディングもいいですし、足元も収まるし。裏に抜け出してもいいし、ポストプレーもいい。相手DFも今季の小川選手は止めようがなかったんじゃないでしょうか。

 本人に話を聞いたわけじゃないですが、東京五輪のメンバーに選ばれなかったのは影響しているのかもしれません。ワールドカップや五輪に選ばれなかった選手のなかから、ガーンって一気に伸びる選手っていますよね。僕は勝手に思ってるだけですが、小川選手の今年の活躍はそういったものも思わせてくれます。

 横浜FCには中村俊輔選手もいて、イサカ・ゼイン選手もいて、桐光学園の選手たちがニッパツで活躍するというのが、なんかいいなって思って見ていました。

長谷川竜也(横浜FC)

 川崎フロンターレからやってきて、違いを見せてくれた選手ですよね。長谷川選手から小川選手っていうホットラインが何度もありました。左サイドから右足で入れるクロスがほんとにすばらしい。ピンポイントでばっちり合う。

 シャドーやトップ下のようなポジションでしたが、下りていって起点を作ったり、自分でボールを運んだりと、仕事も多岐に渡っていました。

 少しお話する機会があったんですが、今シーズン終盤はキャプテンとして「プレッシャーを感じることもありました」って話してくれたんですよね。プレー面だけじゃない部分も大変だったんだろうと思います。でも、その大変さをピッチ上のプレーで返してくれるというか、それは本当にすばらしいなと思います。

 川崎でやっていた時はサイドからドリブルというイメージが強かったですが、横浜FCに来てからは改めていろんな仕事ができるところを見せてくれて、やっぱりすごいなと。

高木善朗(アルビレックス新潟)

 終盤大きなケガに遭ってしまいましたが、今シーズンも文句なしの大活躍でした。

「攻撃を引っ張ります!」というのを背中で見せてくれる選手ですよね。おそらく今シーズンも被ファールは一番多いんじゃないでしょうか。ボールを取られそうになっても体を張って止めたり、ファールを受けてもそこで起点になるならいいというぐらいの心意気を感じるんですよね。

 自分で打開してゴールを決めたり、ラストパスを出したりする仕事も多いですが、自分がサイドに開いてサイドの選手に中を使わせたりするスペースの作り方もうまい。これは高木選手ならではの個性ですし、トップ下のポジションだと今季一番いい選手だったと思います。

 高木選手の存在が、伊藤涼太郎選手に火をつけたのではないかと見ています。トップの選手、ワイドの選手、中盤と前線など、孤立しそうな部分を走り回って、間に入ってつなげてくれるような存在。高木選手の存在でチームがつながっていくような感じなんですよね。

ミッチェル・デューク(ファジアーノ岡山)

 とにかく岡山に合う選手。もう岡山生まれなんじゃないかと思ってしまうぐらい(笑)。

 献身的で体を張るし、守備もガンガンいくし、それでいて点もちゃんと取る。デューク選手の獲得は、岡山にとってもデューク選手にとっても幸せな移籍だったんじゃないかと思います。岡山に永久に住んでもらいたいぐらいですよね。

 岡山のサポーターって、頑張ったりハードワークしてくれる選手をすごく後押しして応援する感じがありますが、それを外国籍の選手がやってくれてるのは、岡山のサポーターもうれしいんじゃないでしょうか。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る