サンフレッチェ広島、深刻な「シルバーコレクター症候群」をわずか6分間で払拭できた理由 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 J1制覇を知るベテランのひとり、DF塩谷司は「この優勝は広島にとって財産になる。将来の広島が楽しみになる」と語り、GK大迫敬介、MF満田誠、MF川村拓夢ら、若手が活躍してのタイトル獲得を喜んだ。

 しかし、ヨーロッパでの豊富なキャリアを持つスキッベ監督は、就任1年目でのタイトル獲得にも決して浮かれることなく、こう言って釘をさすことを忘れなかった。

「去年まで中位のチームが上位にいけるようになったが、スポーツでは上位にいくことよりも、高い位置を保ち続けることのほうが難しい」

 実際、変革途上にある広島は今季、規律とスピードにあふれるサッカーを見せる試合があった一方で、おとなしいまま何もできずに終わった試合があったことも確かだ。この日のルヴァンカップ決勝も、特に前半などは後者に属する内容だっただろう。

 だが、来日最初のシーズンとしては上々の出来。そんな手応えをうかがわせるように、ドイツ人指揮官は、こうもつけ加える。

「来年も、魅力的で成功するサッカーを目指していきたい」

 クラブの歴史に新たな1ページを記すルヴァンカップ初優勝。ベテラン、中堅、若手とバランスよく構成された広島は、新たな時代への第一歩を理想的な形で踏み出した。

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