サンフレッチェ広島、深刻な「シルバーコレクター症候群」をわずか6分間で払拭できた理由 (2ページ目)
ついにカップ戦のタイトルを手にしたサンフレッチェ広島この記事に関連する写真を見る それにしても、劇的にしてあっけない、広島のルヴァンカップ初優勝。と同時に、カップ戦タイトル初制覇だった。
広島がルヴァンカップの決勝へ駒を進めたのは、これが3度目。天皇杯の6度と合わせれば、9度目となるカップ戦決勝。つまりは、決勝での負けを8度も味わってきたということである。
これまで幾多の先輩たちが悔し涙を流してきたばかりでなく、当の自分たちも1週間前に同じ思いをしたばかり。この日のルヴァンカップ決勝もまた、相手に先制を許す展開となり、「先週(天皇杯決勝)も勝てず、ジンクスを作った人たちを恨もうかと思ったくらい」とは、DF荒木隼人の弁だ。
ところが、長く、固く、閉ざされ続けてきた最後の扉は、何の前触れもなく、突然開いた。
わずか6分間の出来事だった。
「それ(逆転勝利)ができるだけの力があると信じながら戦っていたので、それを呼び込めた」(MF野津田岳人)
「チーム全員で勝ちとった勝利。だからこそ、自分たちの力に自信が持てる」(荒木)
今季、新たにミヒャエル・スキッベ監督を迎えた広島は、試合を重ねるごとにチームとしての完成度を高め、徐々に強さを身につけていった。
身につけた強さは結果にもはっきりと表れ、天皇杯とルヴァンカップの両方で決勝進出。J1でも一時は首位に肉薄するなど、残り2節となった現在もAFCチャンピオンズリーグ出場圏内(プレーオフ)の3位につけている。
昨季は4シーズンぶりのふた桁順位となる、11位に沈んでいたことを考えれば、望外の大躍進と言ってもいいのかもしれない。かつて4シーズンで3度のJ1制覇を成し遂げた黄金期の再来を期待する声も自然と高まる。
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