鈴木優磨「早くアントラーズはタイトルを獲らなければ」。チームへの思いや自身のプレーが献身的になった理由も明かした (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

ベルギーで学んだギブ&テイク

 鈴木の言葉を借りて「チャンスメーカーに近いプレー」をした時には、状況判断と視野の広さが際立っている。

「自分では状況が見えているかどうかまではわからないですけど、ボールをもらうタイミングと、そのあとにどこへパスを出して、どう展開しようということは、頭のなかで整理できています。

 そうやって自分のプレーが整理できている時はいい攻撃ができていますけど、逆に自分が止まってしまうと、チームとしていい攻撃につながらなくなってしまうことも多い。だから、中盤に降りた時には、シンプルに逆サイドへ振るなど、展開力を意識しています」

 ただし、決してストライカーの矜持を忘れたわけではない。J1第26節を終え、7得点8アシストという結果に触れた時だった。

「いくら献身的なプレーをしていると言ってもらえても、結局のところ最後は数字で見られるのがFWですからね。否が応でも何ゴールしたか、何アシストしたかという数字はついてくる。

 そこが伴わなければ、いくらチームのために献身的なプレーをしたところで意味はない。あくまで献身的なプレーはプラスアルファ。自分のなかでは得点、アシストという数字に重きを置いてプレーしていきたい」

 やや不服そうに鈴木は言った。

「だから、アシストについてはいいですけど、得点については物足りない。FWとしてはアシストのほうが多いのは、やっぱり気になりますよね」

 その言葉を聞くと、なおさらPKを譲った行為に矛盾を覚えてしまう。数字にこだわるのであれば、自らPKを蹴ればよかったのではないかと----。そこには、ベルギーでプレーした経験が生きていた。

「シント・トロイデンでは、エゴの強い選手ばかりとプレーしてきました。そのなかでどうやってチームメイトと信頼関係を築いていくかと言えば、ギブアンドテイクというか。だから俺、向こうでも10試合くらいゴールのない選手には、PKを譲ったりしていましたよ。助け合えるところは助け合うことで、いかに信頼が高まっていくか、またそれがピッチのなかで表れるということも学びました」

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