浦和レッズに来て半年。ユンカーには日本で決めた「特別なゴールがある」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 あの試合の前日(欧州時間)、ユーロ2020のデンマーク対フィンランド戦で、デンマーク代表のクリスティアン・エリクセンが心臓発作に襲われてしまった。即座に懸命な救護が施され、この29歳のエースは一命を取り留めたが、世界中のフットボーラーや関係者、ファンに大きな衝撃を与えたシーンだった。同胞のユンカーが受けたショックは、計り知れない。

 それから20時間と経たないうちに彼は公式戦のピッチに立ち、浦和のすべての得点に関与した。自身で決めた得点は、6月のベストゴールに選ばれたリーグ戦の湘南ベルマーレ戦のものと遜色のない洒脱なループシュートだった。

「特別なゴールでした」とユンカーは振り返る。「僕からもクリスティアン・エリクセンへのサポートを示すことができたと思っています。これまでのJリーグのキャリアで、もっとも印象に残っている瞬間のひとつでした」

 その後、彼の母国の代表チームは、グループステージで2敗と苦しいスタートを切りながらも決勝トーナメントに勝ち進み、最終的に4強入り。優勝した1992年大会以来となる快挙を遂げた。また現在行なわれているカタールW杯の欧州予選では、ドイツと共にすでに本大会出場を決めている。人口は600万人に満たない国だが、間違いなくフットボールネーションのひとつだ。

「デンマーク人のフットボーラーとして、本当に誇らしいです」とユンカーはうれしそうに話す。

「近年、デンマーク代表はすごく良いコンディションにあります。欧州のビッグクラブでプレーする優れた選手が多く、チームとしてのまとまりも強固です。今や、世界のどんな相手とも好勝負を演じられるでしょう。世界のベストチームのひとつと言っても過言ではありません」

 奇しくも、現デンマーク代表には、ユンカーと同じ名前を持つ人物が3人もいる。守護神のキャスパー・シュマイケル、ストライカーのキャスパー・ドルベリ、そして指揮官のキャスパー・ユルマンだ。

「確かにそうですね(笑)。デンマークには割と多い名前だけど、これも面白い偶然です」

──そこであなたが4人目のキャスパーになれるとは思いませんか?

「もちろん、そう願っているけど、難しいと思います。年齢的なこともあるし、今の代表には若くて優秀なストライカーがいます。それにデンマーク代表は今、すごくうまくいっていますから」

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