大分トリニータの値千金の決勝ゴールシーン。見事だった長沢駿の囮の動きとは? (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

◆コンサドーレ札幌の崩しが見事。サイドへの展開から、相手のどこを突いたか?>>

Answer
ニアに相手DFを引きつけて、ファーにスペースをつくった

 ショートカウンター気味で、浦和の守備陣形が整わない隙を、大分が見事に突いたシーンだ。

長沢は相手DFを引きつけてニアへ。空いたファーで町田がゴールした長沢は相手DFを引きつけてニアへ。空いたファーで町田がゴールした 浦和はビルドアップの段階で西川を中心に両センターバック(CB)が開いてポジションを取っていたが、このタイミングでボールロストしたのが良くなかった。

 三竿のインターセプトから小林が左サイドを抜け出した時、大きく開いた浦和の両CBの間に長沢がノーマークでいた。右CBの岩波拓也は長沢に背を向けて小林を見るしかなく、長沢に対応するためには逆サイドに開いた槙野智章が戻るしかなかった。

 長沢は首を振って槙野の位置を見ると、槙野から遠いニアサイドへ動き出した。槙野はこの時、後方から大分の町田也真人が駆け上がって来るのを見ていた。しかし、岩波の背後を取ってニアに動く長沢の対応に向かうしかなく、槙野にとって数的不利な状況となっていた。

 左サイドをドリブルで持ち上がった小林は、その状況を冷静に見て左足で浮き球のクロスを入れる。ボールは長沢が槙野を引きつけることで空いたファーサイドへ。走り込んだ町田がヘディングで決めて決勝点。好調の浦和から勝点3を手にした。

 大分は7月3日に柏レイソルからFW呉屋大翔を獲得。終盤に向けて課題克服の補強は行なった。この勝利を降格圏脱出のきっかけにできるか。

◆【動画】J1第22節 大分vs浦和ハイライト
(大分の決勝ゴールのシーンは、1分23秒〜2分12秒)

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る