U-24代表でも注目のフロンターレ旗手怜央。「頭の中がぐちゃぐちゃ」からSB挑戦で新境地 (4ページ目)
要するに旗手は、相手を見ながらプレーする目が備わりつつあるのだろう。本人も言うように「予測」ができるようになったことで、プレーの幅も広がれば、選択肢も広がっている。2つ先、3つ先の絵を思い描けるようになっているのかと聞けば、旗手は「多々あります」と言い切る。
そのうえで例に挙げたのが、J1第22節の名古屋グランパス戦で、開始3分に記録したゴールだった。三笘から斜めに入ったパスをレアンドロ・ダミアンが落とすと、走り込んだ旗手が、やはり右足を振り抜いた場面だ。
「たぶんですけど、1年前の自分だったら、薫がドリブルした時点で止まっていたと思います。でも、止まっていたらボールをもらえないと思って、角度をつけつつ、下がりながらゴール前に侵入していったんです。そこでパスはもらえませんでしたけど、すぐに次って考えた時、ダミアンがゴール前で待っていた。その瞬間、ダミアンに当ててもらって、その落としを自分がシュートする絵を描けていました」
偉大な先輩である中村憲剛を例に挙げ、「憲剛さんみたいに、ピッチ全体の動きがパズルのようにハマっていく領域には到達できていないですけど」と前置きしつつ、「自分の近場にいる選手の状況はわかるようになってきました」と旗手は語る。SBを経験したことで広がった視野と予測が、まさに新境地を開かせたのだろう。
U−24日本代表でもDF登録されているように、SBを自分のものにすれば、攻撃的なポジションでも自信を深めている。そんな旗手が目指す未来はどこにあるのか。
「うまい選手ではなく、怖い選手になりたいんです」
聞けば、ふたりの選手を挙げてくれた。
「目標はずっと変わっていないのですが、(大久保)嘉人さんとアキさん(家長昭博)です。嘉人さんのゴールに向かっていく貪欲な姿勢。チャンスがあればどこからでもゴールを狙う選手はファン・サポーターを魅了することもできますし、相手からすれば突進してくるような威圧感を感じるはず。
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