中村憲剛×佐藤寿人の提言。コロナ禍の今こそクラブがやるべきことは (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 発信力、影響力を含めてパワーがあるんですよ、サッカーには。企業と連携して地域を活性化することもできるし、社会貢献も含めた動きも出てきている。そのポテンシャルを、より多く、より広く引き出せるといいですね。

佐藤 面白いなと思えることを、どれだけできるかですよね。フロンターレはそれがうまかったなと、外から見て感じてました。そういう発想がほかのクラブにも必要。過去にこういうことをやったからこうしよう、じゃなくて、常に新しいことをオープンに考えて、いろんな物事を決断できるクラブが増えてほしいなと思います。フロンターレって、もはやサッカーと関係ないこともやってましたよね。

中村 そうなんだよ(笑)。

佐藤 そうやって、いろんなところに種をまいているから、それが最終的にスタジアムに人が集まることにつながったり、クラブに目を向けてみようとなる。サッカーは野球に比べれば、試合数が圧倒的に少ないじゃないですか。そのなかで発信していくには、試合以外の場面でいろいろやっていくしかないんですよ。

◆佐藤寿人、挫折と屈辱もあった21年。「正直、ひどい監督だと思った」>>

---- おふたりともクラブ経営側に回るというのはどうでしょう?

中村 言うことはできるんですけどね(苦笑)。大事なのは、やっぱり「人」なんですよ。そこがしっかりとしてれば、物事が動いていく。熱意を持って働きかければ、周りは看過されて大きなうねりとなっていくというのは、フロンターレの18年間で思いましたね。サッカーファンだけじゃなくて、サッカーを知らない、興味がそこまでない層にアプローチをかけて、等々力に集めようと。

 やっぱりサッカーだけだと限界はあるので、新規のところを広げないといけない。日本は安全に観戦できますし、小さい子から年輩の方まで安心して見に行けるわけだから、アプローチのかけ方はいっぱいあると思うんです。とはいえ、フロンターレで言えば、スタジアムがね。もう満杯ですから。

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