中村憲剛×佐藤寿人の提言。コロナ禍の今こそクラブがやるべきことは (5ページ目)
佐藤 スタジアムの見た目って大事ですよね。今はコロナ禍で制限がありますけど、等々力はいつもいっぱい人が入っているというイメージが広がれば、いろんな企業がサポートしようということになる。言葉はあれですけど、J2時代のフロンターレと対戦した時、正直、等々力が満員になるなんて思ってなかったですから。
でも、満員にするために選手はがんばっただろうし、社員の人たちの取り組みももちろんあって、目に見えないことが積み上がって、今に至っているわけで。となると、どのクラブにも可能性があるわけですよ。
フロンターレがやって来たことに、ヒントは間違いなくある。でも、フロンターレがやっているから、うちはできないよねっていうクラブが圧倒的に多い。そんなプライドはもう捨てて、うちもやってみようというクラブが増えてほしいですね。
中村 一番大事なのは「誰」を喜ばせるか、だよね。
佐藤 そうなんですよ。ファン・サポーターが喜んでくれれば、マネしたって全然いいでしょ、と思える人がどれだけいるか。
中村 そうそう。選手を引っ張り出して、いろんなことやればいいんですよ。時間ありますから、現役は。引退したら、現役時代は時間に余裕があったなと思う(笑)。
佐藤 たぶん、会社もちゃんと選手と向き合ってるんですよね。だから、嫌々やっている選手はいないんじゃないですか。ピッチ外のこともやるということも含めて、クラブに入っていると思うんで。
中村 もちろん得意、不得意はあるんですよ。選手によっては「いいです、大丈夫です」って選手もいますけど、いざやるとなれば、しっかりとやりますし、普段やらなそうな選手がやるとみんなが喜ぶんですよ(笑)。選手の立場からすれば、そういう反応がうれしくないわけない。だから、乗せれば、どの選手もやるはずですよ。その機会を作ってあげればいい。
もちろん、プロサッカー選手としてサッカーをやっているかっこいい姿を見せることは大前提ですし、サッカー選手の本質としてプレーを極めるのは当然。でもこれからの時代は、そこにプラスアルファをやっていかないと、おそらく取り残されていくと思います。プロ野球やBリーグもいろいろやってますし、ほかにも娯楽はいろいろあるわけだから。
5 / 6