中村憲剛×佐藤寿人の提言。コロナ禍の今こそクラブがやるべきことは (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そこはどのクラブにもチャンスがあって、その成功例がフロンターレだと思うんですよ。地道にやって来たことがピッチレベルでもそうですし、ピッチ外でも今、結果が出ている。そこはやり続けていかないといけないんですよ。

中村 誰の目線でやるかだよね。来てくれるのは地元の街の人だから、彼らの目線で物事を動かさないといけない。フロンターレは、自分たちから近づいて行って、川崎の人たちを巻き込んでやってきた。

 最初の頃なんて「フロンターレです」って言ったって、誰も反応してくれなかったからね。それでも、自分たちから近づく作業を続けたことが、今の形につながっていると思う。

佐藤 今の形が成り立っているなかで、新しく入ってきた選手はそれが普通のことになっていると思うんですけど、昔の大変だった頃の話を伝えていくことは大事ですよね。

中村 フロンターレは新人研修があって、このクラブが何をやってきたかを伝える機会があるのよ。だから、新しい選手でもどういう変化を経て、今があるかってことを理解していると思うよ。

佐藤 それを理解しているのとしていないとでは、地域の人と向き合う姿勢も変わってくるかもしれない。

中村 今はコロナ禍だから人と触れ合うのは難しいけど、逆に今だからこそ、クラブの気概が問われると思う。スポンサーも減って、観客動員数も減っている。収入が落ちてきているからこそ、新しい価値を生み出さないといけない。別にほかのクラブがやっていることをマネしてもいいんですよ。Jリーグ全体をアピールしていかないといけないわけだから。

---- ある選手は引退後に、サッカー選手の認知度の低さを痛感したと言っていました。

中村 そうなんですよ。自分たちが思った以上に、Jリーグの一般的な認知度はそこまで高くない。少しずつJリーグ自体はオープンなものになってきていますが、よりオープンなものにしていかないといけないと思います。現役の頃から思ってましたけど、引退してからより強く思います。

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