17歳スタメン、15歳デビューで快勝した永井ヴェルディの未来戦略 (5ページ目)

  • 会津泰成●取材・文 text by Aizu Yasunari
  • photo by Getty Images

 諸事情も理解しなければいけないが、一歩間違えれば、無限の可能性を秘めた若い選手の才能を潰していたかもしれない。真拓も陸斗も、人生を賭けてこれからサッカー人生を歩んで行くわけで、そういう意味では、一般の中高生とは違う。それが良いか悪いかは別の問題として、プレイヤーズファーストで、彼らはプロを目指していることを理解しなければいけない。その上で、学業面も含めて、全力でサポートすることが必要だと思う」

 永井は昨シーズン、5人の教え子(藤田、馬場晴也、松橋優安、石浦大雅、阿野)をユースからトップチームに昇格させた。周囲からは反対意見もあったと言うが、移籍をしてJ1クラブでレギュラーを獲得した藤田をはじめ、全員が出場機会を得て、プロとしてのキャリアを歩んでいる。結果、昨シーズンは『最優秀育成クラブ賞』という評価にも繋がった。

 今回、まだ中学生の橋本を2種登録することは、義務教育期間中であることも考慮して、育成の現場が結論を出すまでには、開幕直前までかかった。

 たしかに、精神的には大人とはいえない中学生が、学校よりサッカー選手としての活動を優先することはリスクを伴う。難しい判断を迫られるが、永井が言うように大前提として、プロクラブの育成とは、アマチュアの学校教育のそれとは明らかに違う世界に存在することは理解する必要はあるかもしれない。

「陸斗の2種登録を開幕に間に合わせるようにお願いした理由は、トップチームの選手として必要だったからに他ならない。昨シーズンからトップチームに呼び、トレーニングマッチでも起用し、静岡キャンプにもフルで帯同させた。

 最後に決め手となったのは、開幕前の練習試合だった。試合は1-0で勝利したが、その時、(松橋)優安の得点をアシストしたのが陸斗だった。成長に対しての期待はもちろんあるが、彼は自分の実力でベンチメンバー入りを掴んだ」

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