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ルヴァンカップ決勝の不思議。なぜか未来のスター候補が次々に躍動 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 だが、大一番での勝負強さに定評がある鹿島は、清水のサイド中心の攻撃をうまく潰し、カウンターを主体に反撃。すると73分、相手CKからのカウンターで、長い距離を走ってゴール前に飛び込んだ柴崎が倒され、鹿島は首尾よくPKを得る。

 これを柴崎自らが落ち着いて決め、まんまと先制することに成功した。

 そして、清水が同点に追いつき、1-1のまま延長に突入して迎えた延長前半の93分、この試合最大の見せ場がやってくる。

 左から右、右から左と、大きくサイドチェンジするようにつながれたパスが、攻め上がりのタイミングを見逃さず、ペナルティーエリア内のスペースに走り込んだ柴崎の足元へ。これを絶妙なトラップでピタリと止めた柴崎は、流れるようにシュートへと持ち込み、ブロックしようと必死で足を伸ばす相手DFの足先をかすめるように、ボールを逆サイドネットへ突き刺した。

 これが決勝点となって、鹿島は2-1で勝利。清水にリーグ戦の借りを返すとともに、クラブ史上初のルヴァンカップ連覇を成し遂げたのである。

 この決勝を前に、当時の柴崎がJ1で記録していたゴール数は通算でもわずかに1。もちろん、1試合2ゴールなどあったはずがない。にもかかわらず、それは起きた。

 ニューヒーローの誕生が名勝負を生み、名勝負に彩りを加える――。ルヴァンカップ決勝の歴史である。

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