ルヴァンカップ決勝の不思議。なぜか未来のスター候補が次々に躍動
ルヴァンカップは、新たなスター選手が生まれる場所である。
今回で28回目を迎えるカップ戦を、そう評することに差し支えあるまい。
それは、この大会が若手選手の登竜門と位置づけられてきたことや、21歳以下の選手を対象に表彰する「ニューヒーロー賞」が設けていることなどと、もちろん、無関係ではない。
だが、過去のルヴァンカップを振り返ると、決勝という特別な舞台で、不思議と若手選手が試合を決める大仕事を成し遂げてしまう。そんな数々の歴史が残っていることも確かな事実なのである。
2003年の第11回大会決勝で大爆発したのは、浦和レッズが誇る2トップ、エメルソンと20歳の田中達也の2トップだった。連覇を狙う鹿島アントラーズから奪った得点は、ふたり合わせて3ゴール。破壊力抜群の攻撃で、前回王者を4-0と粉砕した。
2006年の第14回大会決勝で、ジェフユナイテッド千葉に連覇をもたらしたのは、21歳の水野晃樹である。鹿島を相手に両チーム無得点で迎えた80分、豪快なミドルシュートをゴールに叩き込んだ。均衡を破るこの一発が試合の流れを決め、千葉は2-0で勝利している。
続く、2007年の第15回大会決勝。ガンバ大阪が川崎フロンターレを1-0で下したこの試合で、両チームを通じて唯一のゴールを決めたのは、19歳の安田理大だった。クロスを体ごと押し込むような執念のゴールが、チームに初優勝をもたらした。
2009年の第17回大会決勝で生まれた新たなスターは、FC東京の18歳、米本拓司だ。そのシーズンのJ1で、28試合に出場してわずか1ゴール。そんな伏兵ボランチが先制点を決めてしまうのだから、この大舞台では何か見えざる力が働いているのかもしれない。米本のゴールで大きく流れを引き寄せたFC東京は2-0で川崎に勝利し、5年ぶり2度目の王座に就いている。
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