FC岐阜前社長はJリーグに危機感。このままでは「百年構想」は崩れ去る (2ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi
  • 写真:恩田氏提供

 だが、果たして全国のJリーグのチームは子どもたちのサポーターを増やせているのでしょうか?

Jリーグの百年構想について語った恩田聖敬Jリーグの百年構想について語った恩田聖敬 これはJリーグ全体で検証すべき課題だと思います。私が小学生の時、娯楽と言えばプロ野球でした。地元球団である故・星野仙一氏率いる中日ドラゴンズの1988年の優勝は私の心を鷲掴みにしました。

 そして1993年Jリーグ開幕、今度は世の中がサッカーフィーバーに包まれます。加えてワールドカップ出場やなでしこジャパンの活躍により、サッカーは確実に日本の子どもたちに夢を与える存在となりました。

 しかし時代は急激に変化しました。子供たちの夢がYouTuberの時代が到来しました。スマホ一つであらゆる情報にアクセス出来て、そこには多種多様な娯楽が存在します。加えて新型コロナウイルスの影響で、スポーツをライブで観戦する機会も減っています。よしんば観戦出来たとしてもコロナ式応援が課され、スポーツの最大の魅力である『一体感』を感じづらい状況にあります。

 さらに言えば、今年はJリーガーも含めてアスリートの不祥事が相次ぎました。これでは子どもたちのスポーツ離れに拍車をかけるばかりです。サポーターの少子高齢化が進めばJリーグの掲げる『百年構想』も絵に描いた餅に終わります。多種多様な娯楽の中でサッカーの持つプライオリティは何か? それをどうやって伝えるか? 世のサッカー関係者が真剣に議論すべきだと思います。

 今の小学生が5年後、10年後、20年後もFC岐阜というチームを気にかけてもらうにはどうすればいいのか? もちろんチームの強さも必要不可欠な要素だと思います。しかし、それだけではないと私は思います。

 Jリーグのチームは必ずチーム名に地域名を背負っています。その意味をいかにして伝えるか? これは付け焼き刃で出来る仕事ではありません。クラブスタッフがビジョンを明確に共有して、「FC岐阜文化」が揺るぎないものになるには途方もない時間を要するかも知れません。しかし私は敢えてFC岐阜にそこにチャレンジしてみて欲しいと思います。

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