「憲剛さんは道標」谷口彰悟が学んだ主将としてチームを引っ張る姿勢 (2ページ目)
「たくさんアドバイスはもらいましたけど、レベルも要求も高かったので、自分ができることもあれば、できないこともありました。選手としてタイプも違いましたし、マネはできないというか。逆にマネをしていてはダメだなってすぐに思いました。
それでも、姿勢は常に勉強していました。それに憲剛さんが話しかけてくれるタイミングや言ってくれる内容が的確だったんです。いつも、なかなかうまくいかずにモヤモヤしているタイミングで、スッと寄って来て話してくれた」
2016年の時も、そうだった。
「僕、ずっとボランチにこだわっていたんですよね。それなのに、ボランチでプレーできず、ずっと後ろ(CB)で試合に出ることがつづいていて、それが悔しかったというか、ちょっと練習に身が入らないというか、ふてってしまっていた時期があったんです」
シーズン序盤こそCBとして奈良竜樹(現・鹿島アントラーズ)とコンビを組んでいたが、ポジションへのこだわりが漏れ出てしまっていたのだろう。先発出場の機会を失い、途中出場の回数が増えていった。前年はリーグ戦全試合にフル出場していた谷口にとっては、まるで後退しているかのような気分だったのだろう。
「だから、ボランチでプレーさせてくれよってずっと思っていたんです。例えば、ボランチとCBを交互にやらせてもらえているなら、まだよかったかもしれないですけど、それもなくて。練習でもずっとCB。もう、CBはやりたくないっていう雰囲気がプレーにも出ていたんじゃないかと思います」
その焦りや苛立ちに、中村は気づいていたのだろう。ある時、谷口にこう言ったのだ。
「最終的には全部、自分に返ってくるからな」
その言葉を聞いて、谷口はハッとした。
「自分を見つめ直すきっかけになりましたね。心のどこかでは、『やるしかない』ってわかっていたんです。でも、それをすんなりと受け入れられなかった。でも、憲剛さんにそう言われて気づいたんですよね。結局、試合に出られなくなっていたわけで、それも自分に返ってきていた。あの時、『やるしかない』って思えたことで、今の自分もあるんです」
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