「憲剛さんは道標」谷口彰悟が学んだ主将としてチームを引っ張る姿勢
チームメイトが語る中村憲剛
(2)谷口彰悟
中村憲剛が引退を発表し、現役最後の瞬間が迫ってきた。スポルティーバでは、川崎フロンターレのチームメイトたちにインタビュー。常に先頭に立ってチームを引っ張ってきた中村との思い出や、彼に対する思いを語ってもらった。
◆ ◆ ◆
「振り返った時、僕のなかで思い浮かぶのは、やっぱり14番の背中なんですよね」
圧倒的な強さで3度目のJ1優勝を達成した川崎フロンターレのキャプテン谷口彰悟は、中村憲剛との記憶をしみじみと語る。
中村憲剛のすべてが「僕にとって道標でした」と言う谷口彰悟「憲剛さんに今シーズン限りで引退すると言われた時は、率直に『何でですか?』と聞きました。そうしたら会見でも言っていたように、35歳になった時から40歳で引退しようと決めていたことも含め、直接、説明してくれたんです。それを聞いて納得しました」
中村の決意が固いこと、意志が覆らないことを悟った谷口は、素直に感謝を伝えた。
「僕がフロンターレに加入する前からもそうですけど、加入してからも、ずっと、ずっと憲剛さんは、チームの先頭を走ってきた。ピッチ内外での立ち居振る舞い、言動、行動、そのすべてが僕にとっての道標でした」
谷口が、背中を追いかけ、道標と伝えたのには理由がある。
今でこそ不動のセンターバック(CB)として、チームを後方から支えているが、筑波大学時代は中盤の底で活躍していた。2014年に川崎に加入してからはCBやサイドバック(SB)で出場することもあったが、谷口と言えば、やはりボランチの印象が強かった。
「加入した当初は、よく憲剛さんとパス交換していましたからね。僕が加入したのが6年前だから、憲剛さんは当時33歳。人としてもしっかりしているし、話もうまければ、サッカーもうまい。この人すごいなとしか思えなかったですね」
当時の中村は、トップ下も担えば、ボランチでプレーすることも多かった。必然的に谷口とコンビを組む機会もあったから、話をする頻度も高かった。
1 / 4