鬼気迫るプレー。若手サブ組がFC東京の来季を明るく照らす
FC東京のメンバー表には、森重真人をはじめ、高萩洋次郎、永井謙佑、ディエゴ・オリヴェイラなど、お馴染みの顔ぶれはなかった。代わって名を連ねたのは、今季の出場試合数がひとケタ台の木村誠二と品田愛斗に象徴されるように、いわば"サブ組"と呼ばれる面々だ。
アダイウトン、三田啓貴、丹羽大輝の3人を除けば、いずれも東京五輪、あるいはパリ五輪世代の選手たち。スタメンの平均年齢は23.82歳と、若さにあふれる、言い換えれば経験に乏しいメンバー構成だった。
身長161cmの小柄なルーキー紺野和也(背番号38) 12月6日までカタールでACLを戦っていたFC東京とすれば、致し方ない状況だった。
「アスリートトラック(海外からの帰国後14日間の待機期間中の練習、大会参加を可能とする措置)」の適用により、ピッチに立つことは可能だった。だが、11月24日から中2日のスケジュールで5試合もこなした主力の疲労度はかなり大きく、ACLでの出場機会が少なかった選手、もしくはメンバーから外れた選手でこの試合を戦うほかなかったのだ。
一方、味の素スタジアムに乗り込んできたサンフレッチェ広島は、家庭の事情でブラジルに帰国したレアンドロ・ペレイラを除けばベストメンバーである。置かれた状況を考えれば、FC東京の苦戦は免れないものだった。
実際に試合は、立ち上がりから両者の実力差が如実に表われた。広島がほとんどの時間でボールを保持し、FC東京は自陣を固めるのみ。身体を張ってピンチをしのぎ、カウンターに活路を見出したが、前に出ていくパワーが足りず、あっさりとボールを奪われては耐えしのぐ時間が続いた。
もっとも、広島の決定力不足にも助けられた。FC東京は後半に入ると守りを固めるだけでなく、いい形でのボール奪取からのカウンターの機会が増加する。
そして65分には果敢に攻め上がった左SBの中村帆高が左足で押し込んで先制ゴールを奪取。千載一遇のチャンスをモノにし、虎の子の1点を守り抜いた"サブ組"のFC東京が、会心の勝利をあげた。
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