坂元達裕ら大卒→J2経由で躍動するJ1選手が急増中。その是非を問う (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 最近のJ1では、坂元と同じようなステップを踏む選手、つまりは大学卒業後、J2クラブ(あるいは、それ以下のカテゴリーのクラブ)を経て、J1クラブ入りする選手が増えてきている。

 代表的なのは、ヴィッセル神戸のFW古橋亨梧だ。

 中央大卒業後、J2のFC岐阜に加入した古橋は、1年目からリーグ戦全試合に出場すると、2年目の一昨季途中で神戸へ移籍。現在では押しも押されもせぬ攻撃の中心となっており、昨季は初めて日本代表にも選出されている。

 その他にも今季J1では、柏レイソルのMF戸嶋祥郎(筑波大→アルビレックス新潟)、サンフレッチェ広島のMF浅野雄也(大阪体育大→水戸ホーリーホック)、大分トリニータのFW髙澤優也(流通経済大→ザスパクサツ群馬)らが、今季移籍の新加入ながら、貴重な戦力として活躍している。

 彼らはいずれも、J2やJ3を1、2年でクリアし、J1へと"個人昇格"していった大卒選手たちである。

 J1を山頂とするならば、そこへたどり着くための育成ルートがさまざまあるのが、日本の特徴であり、よさでもある。全員が同じルートを進み、生存競争に勝ち残った者だけが山頂へたどり着けるヨーロッパなどとは、選手育成の仕組みが異なる。彼らのような選手がJ1で活躍することは、日本ならではの育成・強化の成果だと言えるのだろう。

 とはいえ、そこには少々ひっかかるものがないわけではない。

 もちろん、挫折を味わいながらも成長を続け、"今"に至った選手には、無条件で拍手を送りたい。

 だが、獲得するJクラブ、特にJ1クラブ側はどうだろうか。

 Jリーガーの平均引退年齢は、およそ28歳と言われている。つまり、現役としてプレーできる平均的年数は、高卒でプロになっても10年程度だ。

 そんな貴重な時間が、大学へ進学すれば4年も短くなり、さらにJ2やJ3も経由したとなれば、その後J1にたどり着けたとしても、それだけJ1でプレーできる時間は減ってしまう。

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