中田英寿、高原直泰の記録を越えた男。「ケチャップ、ドバドバ」の始まりか (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 大会前の調子や期待感とは無関係に、本番に強い選手とそうでない選手がいるが、少なくともふたつのワールドカップで見る宮代は、明らかに前者だった。この2大会の両方でゴールを決めている日本人選手は過去、中田英寿、高原直泰、宮代の3人だけ。両方で複数ゴールとなると、宮代ただひとりの記録である。

 それを考えれば、J1デビューを果たした今季、初ゴールにここまで時間がかかったことは意外でもあったが、裏を返せば、いよいよここからが「ケチャップ、ドバドバ」の始まりなのだろう。

 指揮官が語る。

「彼は自信を持つことが大事だったが、そういう姿がトレーニングのなかから見えた。(ゴールしたルヴァンカップのあとに)前回、(J1第14節)横浜F・マリノス戦でメンバー外になったが、その後も彼をしっかり見ているなかで、いいプレーが続いていた。これはイケるだろうというのはあった」

 今季J1で川崎の選手がゴールを決めるのは、宮代で14人目。ひとり1点ずつとしても、J1下位チームの総得点数に匹敵するゴール数になってしまうのだから、恐るべき得点力である。

 圧倒的な強さで首位を快走する川崎でまたひとり、20歳のストライカーが目を覚ました。

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