中田英寿、高原直泰の記録を越えた男。「ケチャップ、ドバドバ」の始まりか (2ページ目)
今季川崎は1試合平均でおよそ3点を叩き出す攻撃力を武器に、J1首位を独走。宮代がいつゴールを決めても不思議はない状況だったはずだが、登録メンバー中最年少のFWは、勢いづくチームの波に乗り損ねていた。
昨季はレノファ山口への期限付き移籍を経験し、「覚悟を持って帰ってきた」という20歳にとって、少なからずフラストレーションの溜まる日々だったに違いない。
はたして、ようやく「最初の1点」が生まれたのは、今季初戦から半年以上が経過した9月2日。同じルヴァンカップの準々決勝のことだった。
川崎はヴィッセル神戸を相手に5-0と大量リードを奪い、試合終盤を迎えていた。
すると後半35分、川崎の鬼木達監督はFW小林悠に代え、宮代を投入。試合時間は残りわずかだったが、それでも最後まで貪欲に相手ゴールへと向かい続けた背番号20は後半42分、待望のゴールを叩き込んだ。
すでに勝負は決していた。試合の大勢には影響のないゴールではあった。それでも、左からのクロスを流れるようにトラップからシュートへとつなげた、記念すべき川崎での初ゴールは、力強く、鮮やかだった。
最初の1点をクリアしてしまえば、次の1点は早かった。わずか1週間後の9月9日、今度はJ1初ゴールである。
J1第15節、相手は奇しくも、再び神戸。1-2と1点ビハインドの後半21分に投入された宮代は、後半38分にFWレアンドロ・ダミアンのPKで追いついた直後の後半40分、大仕事をやってのける。
宮代は自ら前線で相手と競り合い、足を伸ばしてボールを引っ掛けると、そのこぼれ球を拾ったMF脇坂泰斗のドリブルと並走。宮代が語る。
「自分もフリーだったので、(パスを)出してくれたら『絶対決める』って強い気持ちを持っていたので、必死で呼んだ」
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