2020.09.11

「平成の天才」は輝きを取り戻すか。
宇佐美貴史になくて江坂任にあったもの

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

◆「日本サッカー天才ランキング」はこちら>>>

 先日に書いた「消えていった天才Jリーガーたち」というコラムが、まずまずの反響があったそうだ。若くして注目を浴び、将来を期待されながらも、大成することなく、表舞台から姿を消した。そんな選手たちを紹介しただけだが、「天才」という言葉には人々を魅了する甘美な響きが備わっているのだろう。

今年5月で28歳になった宇佐美貴史 スポーツ界における「天才」とは、はかないものだ。勝手に大きな期待を背負わされ、活躍できなければ批判され、そのうち見向きもされなくなってしまう。

 環境の変化にアジャストできなかった。監督と馬が合わなかった。あるいはケガによって成長を妨げられた......。その背景には様々な要因があったが、天才が天才であり続けるには、才能以上に、実はそうとうな努力が求められるのではないか。

 順調に成長を続ける「令和の天才」久保建英も、これからのキャリアがどう転ぶかはわからない。訪れるであろう困難を乗り越え、大成を願うばかりである。

 宇佐美貴史も、天才と称されたひとりだろう。小学校のころからズバ抜けた才能を示し、中学に上がるとガンバ大阪のジュニアユースに加入。中学3年の時にはユースに飛び級で昇格し、高校生にまじってレギュラーを務めた。

 高校2年生の時にプロ契約を結び、18歳だったプロ2年目には7ゴールを記録。年代別の代表にもコンスタントに選出され、19歳にして世界的なビッグクラブであるバイエルン・ミュンヘンへと移籍する。出番はなかったとはいえ、チャンピオンズリーグ決勝進出も経験した。

 その歩みを振り返れば、まさに「天才の道」を突き進んできた。しかし、順調に見えたキャリアも、この頃から雲行きが怪しくなってくる。

 バイエルンを1年で離れると、翌シーズンに在籍したホッフェンハイムでも結果を出せず、G大阪に復帰。すると2013年のJ1昇格、2014年のJ1優勝に貢献する活躍を見せ、2016年に再び海を渡る決断を下すことになる。