はや頂点が見えた。「異例のシーズン」の優位性をすべて備える川崎F (3ページ目)
貴重な勝ち越しゴールからわずか3分後には、再び得たPKを、今度は家長が決めて3−1。さらには、迫力ある連続攻撃から小林が決めて4−1とリードを広げると、最後はDF谷口彰悟がCKからの豪快なヘディングシュートで猛攻を締めくくった。
終わってみれば、5−1の大勝である。
中断明けのJリーグでは、過密日程と交代枠増により、ひと言で言えば、選手層の厚さが問われている。
だが、選手層の厚さと言っても、そこにはいくつかの要素がある。1シーズンを長い目で見て、先発メンバーを入れ替えながら連戦をこなすこともさることながら、試合途中で交代出場した選手が流れを変える、あるいは、ゴールやアシストといった目に見える結果を残すことも重要だ。
そして、それを見事に示したのが、この試合の川崎だった。
昨季を振り返れば、すべての公式戦(J1、ルヴァンカップ、天皇杯、AFCチャンピオンズリーグ)を通じて、交代選手が決めたゴールが最も多かったのは、川崎である。
なかでも、小林はひとりで5ゴールを決めており、パトリック(サンフレッチェ広島→ガンバ大阪)と並び、"交代ゴール得点王"でもあった。今季もまた、本領発揮の勝負強さである。
三苫にしても、自らの特長を「最初から100の出力でいける」と語り、実際にピッチ上でそれを証明して見せた。ともに今季2試合目の出場で、これまではわずかなプレー時間しか与えられていなかった2選手が、いきなりこれほどの活躍をしてしまうのだから、他クラブからしてみれば、さすがの選手層と脱帽するしかないだろう。
昨季までチームのキャプテンを務め、経験豊富な小林は「夏場は交代選手がどれだけが結果を出せるか」が重要だと語り、「チームみんなで勝ち点を積み重ねていければいい」と、総力戦の重要性を口にする。
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