2020.07.19

FC東京、快勝にも広がる不安。
優勝へ戦術のマイナーチェンジが急務か

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

「橋本拳人が明かすロシア移籍事情」はこちら>>

「ボールを奪って、前にスペースがあった。そこは自分の得意なところで、フィニッシュまで行けました。(チームは)この戦い方なら勝ち点を稼げるし、タイトルも取れるはずです」

 試合後、豪快な得点を決めたアダイウトンは、そう言って胸を張った。

 FC東京は今シーズンに入って、最も"らしい"戦いを見せたと言えるだろう。昨シーズン、優勝争いを演じた堅い守りと鋭く重いカウンター。それは彼らの看板である。

 では、FC東京は悲願のJリーグ優勝を成し遂げられるのか?
浦和レッズ戦で貴重な追加点を決めたアダイウトン(FC東京)
 7月18日、味の素スタジアム。FC東京は本拠地に浦和レッズを迎えている。昨シーズンの4-4-2から、プレシーズンで取り組んできた4-3-3を採用するようになったが、「堅守&カウンター」の戦術構造は大きく変わっていない。

 ロシア移籍が決まって最後の試合となった橋本拳人は、守備戦術のキーマンと言えるだろう。

 浦和戦、橋本はアンカーに入って、センターバックを補強している。興梠慎三、杉本健勇という浦和の強力な2トップへの連絡網を遮断。辛抱強く持ち場を守って、一番危険な攻め口を消し続けた。

 その結果、浦和はクロスを早めに送るか、ロングボールが多くなった。

 FC東京は、森重真人、渡辺剛という高さと強さのあるセンターバックが、単調な攻めをことごとく跳ね返している。室屋成、小川諒也のサイドバックも、相手に自由にやらせない。守備の練度で優位に立っていた。

 前半はいくつかシュートを打たれたが、一度も攻め崩されていない。

「前半から悪くなかったので、安心して見ていられました。もう少しアップテンポに入りたかったですが、徐々に(リズムが)出てきたかなと」(FC東京・長谷川健太監督)

 そして先制点は、その守備の安定がもたらしたものと言えるだろう。

 攻撃の旋回軸を担っているのが、ディエゴ・オリヴェイラだ。

 3トップの一角のオリヴェイラは、前線に残るのではなく、中盤に落ちてボールを受け、はがし、展開する。彼がボールを触ることで、攻撃のリズムを出していた。