FC東京、快勝にも広がる不安。
優勝へ戦術のマイナーチェンジが急務か (2ページ目)
久保建英が移籍して以降、FC攻撃はカウンター頼みで単調さが目立っていた。だが、彼に代わる選手はなかなかおらず、オリヴェイラにプレーメイクもさせるのは苦肉の策だろう。
そして40分、じりじりと押し込んでいたFC東京は、森重が右で高い位置を取っていた室屋にサイドチェンジ。浦和ディフェンスの背中を取った形で、ほぼフリーでクロスが上がる。動揺が走ったのか、浦和はまずGKがディフェンダーとかぶり、そのディフェンダーがヘディングを空振りするという失態で、後方から飛び込んだオリヴェイラが体ごとボールを押し込んだ。
ミス絡みだったが、ミスを誘発したともいえ、必然の先制点だった。
1点をリードすると、FC東京は昨シーズン同様、強さを発揮した。守備は堅牢さを増し、守りでリズムを作る。長谷川FC東京の真骨頂だ。
「失点がもったいなかった。取られ方、時間帯も含めて。攻撃のスピードを上げたかったが、うまく時間を作られたり、カバーリングも早かったり、数的な不利に晒すことができなかった」(浦和・大槻毅監督)
浦和は、後半に入って次々に交代選手を投入。しかし、選手のフィーリングに頼った攻撃で、高い壁に当たるように阻まれる。サイドを丁寧に攻め崩すようなコンビネーションの練度が低く、形が見えない。焦りが募る状況で、ミスが出やすくなっていた。
65分、センターサークルでボールを受けた浦和のボランチに対し、アダイウトンが猛烈にチャージ。パスが弱く、イレギュラーし、さらにコントロールも乱れ、パスカットに成功した。これでドリブル体勢に入ったアダイウトンは、3人を振り切りながらゴールまで突進し、右足で左隅に流し込む。一瞬のカウンターだった。
2点リードしたFC東京は盤石になった。MFのラインさえ越えさせない。要塞にこもって戦うようなもので、狙い撃ちに近かった。
FC東京は浦和を完全に封じ込め、2-0で勝利している。第5節終了段階で2位に浮上。序盤戦としては十分に優勝を見込める数字だ。
しかし、橋本の移籍は戦術的に大きな痛手になるだろう。
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