JリーグMVP受賞者の近年の顔触れから
わかること。ふたつの傾向とは (4ページ目)
そんな傾向を象徴するのが、昨季MVPの仲川輝人(横浜F・マリノス)だろう。彼もまた、2015年に専修大を卒業した大卒Jリーガーである。
最近は、大卒JリーガーのMVP選出が目立っており、2016年の中村憲剛(中央大→川崎フロンターレ)、2017年の小林悠(拓殖大→川崎F)と合わせ、ここ4年で3人目という躍進ぶりだ。
中村憲剛をはじめ、近年は大卒選手のMVPが増えている 実のところ、1998年の中山雅史(筑波大→ヤマハ=ジュビロ磐田)、2001年の藤田俊哉(筑波大→ジュビロ磐田)と、2000年前後にも大卒JリーガーがMVPを受賞してはいる。
だが、ふたりに共通するのは、彼らが高校を卒業する時点では、まだJリーグは存在していなかったということ。日本リーグでのプレー経験もある中山はもちろん、藤田にしても、大学進学はJリーグ誕生前の出来事だ。
つまりは、中村が"実質的な"大卒初のMVPであり、にもかかわらず、その後の3年でふたりも続いているのだから、この事象はもはや"たまたま"ではなく、主流になっていく可能性すらあるのだろう。
加えて、仲川の場合、専修大から横浜FM加入後、J2クラブ(町田ゼルビア、アビスパ福岡)への期限付き移籍を経てのMVP受賞である。J2でのプレー経験を持つMVP受賞者は過去にもいたが、出場機会を求めての期限付き移籍を経験しているとなると、極めて異例だ。
また、仲川は、MVP受賞時点で日本代表での国際Aマッチ出場経験がなかった初めての日本人選手でもある。
プロ入りまでの過程ばかりでなく、プロ入り後の成長過程までもが、それだけ多様化しているということだろう。
4 / 4