ジーコの抜けた穴を埋めたベベット。W杯で見せた「悪童」との友情

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

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あのブラジル人Jリーガーはいま
第2回ベベット(前編)>>後編を読む

 1983年、ジーコは12年間プレーしたフラメンゴから、イタリアのウディネーゼへの移籍を決めた。最大のスターを失い、フラメンゴのサポーターは世界の終わりが来たかのように悲しんだ。「フラメンゴに未来はない」と、メディアも信じ込んでいた。

 しかし、フラメンゴ幹部は隠し玉を持っていた。彼の名前はベベット。まだ19歳の少年だったが、ジーコの抜けた穴を埋めてくれると彼らは確信していた。当初、サポーターは彼にブーイングを浴びせた。ベベットは痩せっぽちで小さく、こんな若造にジーコの代わりが務まるとは思えなかったからだ。引退したばかりのペレを引き合いに「代表にペレの代わりがいないように、フラメンゴにジーコの代わりは存在しない」と彼らは抗議した。

1994年、アメリカW杯でブラジルの優勝に貢献したベベット photo by Yamazoe Toshio1994年、アメリカW杯でブラジルの優勝に貢献したベベット photo by Yamazoe Toshio だが、すぐにサポーターは彼にブーイングしたことなど忘れてしまった。ベベットはジーコに比べても遜色がなかったからだ。考えてみれば、ジーコも昔は小さく痩せていた。そしてどちらもサポーターに夢を見させてくれた。

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