ジーコの抜けた穴を埋めたベベット。W杯で見せた「悪童」との友情
無料会員限定記事
あのブラジル人Jリーガーはいま
第2回ベベット(前編)>>後編を読む
1983年、ジーコは12年間プレーしたフラメンゴから、イタリアのウディネーゼへの移籍を決めた。最大のスターを失い、フラメンゴのサポーターは世界の終わりが来たかのように悲しんだ。「フラメンゴに未来はない」と、メディアも信じ込んでいた。
しかし、フラメンゴ幹部は隠し玉を持っていた。彼の名前はベベット。まだ19歳の少年だったが、ジーコの抜けた穴を埋めてくれると彼らは確信していた。当初、サポーターは彼にブーイングを浴びせた。ベベットは痩せっぽちで小さく、こんな若造にジーコの代わりが務まるとは思えなかったからだ。引退したばかりのペレを引き合いに「代表にペレの代わりがいないように、フラメンゴにジーコの代わりは存在しない」と彼らは抗議した。
1994年、アメリカW杯でブラジルの優勝に貢献したベベット photo by Yamazoe Toshio だが、すぐにサポーターは彼にブーイングしたことなど忘れてしまった。ベベットはジーコに比べても遜色がなかったからだ。考えてみれば、ジーコも昔は小さく痩せていた。そしてどちらもサポーターに夢を見させてくれた。
1 / 6