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14年前、野洲の「高校サッカー史上
最も美しいゴール」が証明したもの (5ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 その時、瀧川はパスを受ける準備をしていた。

「僕はタカシがドリブルで切れ込んだ時に、そのタイミングでアウトサイドにかけたパスが来ると思ったんです。でもタカシがヒールで(平原)ケンに落としたので、もう一度動き直しました。それで、ケンから(中川)シンゴにパスが出た瞬間に、オフサイドにならへんことだけを考えて、あとはいいボールが来れば...と」

14年前の伝説のゴールを詳細に語る瀧川 photo by Sportiva14年前の伝説のゴールを詳細に語る瀧川 photo by Sportiva 右サイドでパスを受けアシストをした中川は、左利きの選手である。

「シンゴは左足にボールを持ち替えて、クロスをあげるかと思っていました。でも右足で蹴って、僕のところに来たので、ありがとうって感じですよね」

 そして、伝説のゴールが生まれた。瀧川は右足で蹴り込み、熱戦に終止符を打つとともに、野洲高が全国の頂点に立ったのである。

 多くの人々の記憶に残るゴールだが、本人たちにとっては、それほど印象深いゴールではないという。ゴールを決めた瀧川は言う。

「練習ではああいうプレーがよく出ていたので、普通とは言わないですけど、僕らからしたら特別ではないんです。何回も見た形ではあるし、ヒールで誰かが落としてスイッチして、スルーパスを出してみたいなのは形としてありました。だから、そこまで驚きではなかったです」

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