14年前、野洲の「高校サッカー史上
最も美しいゴール」が証明したもの

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

2020年のセクシーフットボール 野洲高校メンバーは今
瀧川 陽(1)  (2)はこちら>>

今から14年前。「セクシーフットボール」と呼ばれた、卓越したボールテクニックとコンビネーションによるサッカーで、並み居る強豪を倒して全国初制覇を成し遂げた、滋賀県の野洲高校。ファンの熱狂を呼んだあのサッカーを当時のメンバーに聞く。今回は激戦となった決勝で、見事な決勝ゴールを決めた瀧川陽だ。

◆ ◆ ◆

「高校サッカー史上、もっとも美しいゴール」を決めた男は、本気とも冗談ともとれる口調で言った。

14年前の第84回全国高校サッカー選手権決勝で、優勝に導くゴールを決める野洲高校の瀧川陽14年前の第84回全国高校サッカー選手権決勝で、優勝に導くゴールを決める野洲高校の瀧川陽「僕じゃなくて、コウタかタカシが決めたほうがよかったんじゃないですかね。後々のことを考えると。だから、ごめんって感じですよね」

 コウタとは、のちにジェフユナイテッド市原・千葉などでプレーすることになる青木孝太。タカシとは、2018年ロシアW杯で日本を決勝トーナメントに導く活躍をした乾貴士(エイバル)のことである。

 2005年度の全国高校サッカー選手権大会決勝。野洲高校対鹿児島実業の試合は、1-1で延長戦に突入した。そのゴールが生まれたのは、延長後半8分のことだった。

 自陣から田中雄大がレーザービームのようなサイドチェンジを送り、乾がドリブルで中央に切れ込む。相手をひきつけておいて、ヒールでパスを出すと、平原研が右サイドを走る中川真吾に送った。

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