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14年前、野洲の「高校サッカー史上
最も美しいゴール」が証明したもの (4ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

「ほんまはタカシから、もっと優しいパスが来ると思ってたんです。でも、あれはシュートだったんでしょうね。『こんなパスある!?』と思いながら走って、スパイクのポイントで押し込みました」

 チーム1の快速を誇る瀧川でなければ、押し込めなかっただろう。続く準決勝の多々良学園戦では、楠神順平(南葛SC)のクロスボールに瀧川が頭で合わせてゴール。これが決勝点になった。アシストをした楠神が振り返る。

「当時の僕は、クロスをあげることが少なかったんですけど、あの時はめっちゃ疲れてたんです。自陣から長いドリブルをしてゴール前まで行って、そこで取られたかなんかでもう1回すぐボールが来て。疲れていて相手を横に抜く元気もなかったので、いちばん楽な股抜きをして、クロスをあげました。『あとは頼む!』って感じです。ちょうど(瀧川)アキラがフリーだったので、一応は狙いました」

 瀧川は準々決勝、準決勝、決勝と、野洲が挙げた4点のうち、3ゴールを記録している。それもすべて、勝利に直結する得点である。まさに"スーパー"な活躍だ。

 鹿児島実業との決勝戦。出番は後半20分に回ってきた。2回戦の四中工戦とほぼ同じ時間帯での登場である。

 1-1のまま試合は延長戦に突入。高校サッカー史に残るゴールが生まれたのは、延長後半8分のことだった。田中のパスを受けた乾が、ドリブルを開始する。鹿児島実業の選手が行く手を塞ごうと、乾の前に立ちはだかる。

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