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15年ぶりの戴冠へ。Jリーグ新時代の
戦い方を示した横浜F・マリノス (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そして、3、4点目は、いずれも横浜FMが高い位置からの守備により、ボールを奪ったところに端を発したものだ。

「(試合や練習を)やりながら、自信や手応えを深めている」(扇原)というトリコロール軍団は、6連勝中の現在、昨季王者の川崎すら寄せつけないほど、J1でも別格の強さを見せている。FC東京にも数字上、逆転優勝の可能性が残っているとはいえ、客観的に見て、横浜FMがJ1制覇をほぼ手中に収めたと考えるべきだろう。

王者・川崎フロンターレに完勝した横浜F・マリノス王者・川崎フロンターレに完勝した横浜F・マリノス このまま横浜FMが優勝にたどりつけば、2004年以来、15シーズンぶりのJ1制覇。久しぶりの戴冠は、日本リーグ時代から数多くの栄光を手にしてきた名門復活を印象づけるとともに、ふたつの点において、エポックメイキングなものになるのではないだろうか。

 ひとつは、横浜FMが、前述したようにボールポゼッションを重視したスタイルを志向していることである。

 過去には、他クラブでもポゼッション重視を打ち出し、チーム作りをした例はあった。だが、なかなか結果に結びつけることができず、そうしたスタイルは、結果を度外視した理想主義と揶揄されることもあった。

 ところが、横浜FMの場合、過去の例と比べても"極端に"ポゼッションを重視しながら、それでいて、これだけの結果に結びつけているのである。

 ピッチ上の選手がバランスよくポジションを取り、テンポよくボールを動かすことができているから、ボールを失ったとしても、自然と守備への切り替えが速くなる。ボールポゼッションを高めたスタイルで勝利の確率を高めるためには、ボールを失った時に素早く守備に移り、相手のカウンターを許さないことが絶対条件だが、今の横浜FMは、まさにそれができている。

 そんなスタイルのチームがJ1制覇を成し遂げるとなれば、同じような志向のチームには自信になるだろうし、正反対の志向を持つチームには、考え方を変えるきっかけになるかもしれない。いずれにしても、このサッカーでも優勝できると証明したことの意味は大きい。

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