2019.12.02

15年ぶりの戴冠へ。Jリーグ新時代の
戦い方を示した横浜F・マリノス

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 今季J1の覇権の行方は、どうやらほぼ決着がついたようだ。

 前節の勝利で今季初めて首位に立った横浜F・マリノスは、J1第33節、川崎フロンターレに4-1で勝利。その一方で、2位のFC東京は、浦和レッズと1-1で引き分け、両者の勝ち点差は前節までの「1」から「3」に広がった。

 この結果、最終節の直接対決でFC東京が勝てば、勝ち点では並ぶものの、得失点差7をひっくり返すためには、FC東京には4点差以上での勝利が必要となった。

 つまり、横浜FMは勝つか、引き分けならもちろん、3点差以内の負けでも優勝が決まる。そんな圧倒的優位な立場で、最終節では眼下の敵をホームに迎えることになったのである。

 昨季、一昨季とJ1連覇の川崎に大勝し、タイトルを大きく手繰り寄せた試合を振り返り、MF扇原貴宏が語る。

「川崎に勝ってこそ、優勝にふさわしいチームだと思っていた。それを立ち上がりからプレーで示し、それが結果に表れた」

 横浜FMはディフェンディングチャンピオンを相手に、しかも敵地での試合ながら、序盤から主導権を握った。

 ボールを保持して攻撃を組み立てるだけでなく、中盤では力強い守備でボールを奪い、川崎が武器とするパスワークを寸断。前半なかばには川崎にボールを保持され、自陣でピンチをしのぐ時間もあったが、90分全体を俯瞰すれば、試合は完全に横浜FMのものだったと言っていい。扇原が続ける。

「中盤で相手を自由にさせず、一歩でも前に寄せることは、いつも以上に意識してやった。川崎相手に4-1は自信になる」

 4ゴールという数字自体もさることながら、どれもが横浜FMらしい、非常に質の高い得点だったことも特筆すべきだろう。

 試合開始早々の先制点は、自陣ペナルティーエリア内のGK朴一圭から、6本のパスをつないで左のオープンスペースにFWマテウスを走らせ、最後はゴール前のMF仲川輝人がワンタッチでクロスを押し込むだけ、という状況を作り出したもの。

 2点目は、横浜FMのビルドアップを阻もうと、川崎の2ボランチが前がかりになった背後のスペースに、右サイドバックのDF松原健が潜り込んでボールを受け、FWエリキに絶妙なスルーパスを通したもの。