15年ぶりの戴冠へ。Jリーグ新時代の
戦い方を示した横浜F・マリノス (3ページ目)
しかも、横浜FMのスゴいところは、メンバーを固定することでチームの熟成を図ってきたわけではなく、シーズン中にケガで戦線離脱する選手や、調子を上下させる選手がいるなかで、メンバーを入れ替えながら、これだけ完成度の高いサッカーを作り上げてきたことである。
現在では左サイドバックに定着したDFティーラトンも、今季開幕当初はケガで出遅れ、今季初出場は第3節。その後も控えに回ることが多く、第10節までは3試合に出場したにすぎなかった。
だが、「ケガから復帰し、フィジカルが弱いと自覚していたので、フィジカルコーチが改善に力を注いでくれた。そのおかげで、そこからはチームのスタイルを日々学んで、フィットしていった」とティーラトン。メンバーの入れ替わりがありながらも完成度を高められたのは、選手全員にチーム戦術がしっかりと落とし込まれている証拠だろう。アンジェ・ポステコグルー監督の手腕は称賛に値する。
そして、もうひとつは、今季から拡大した外国人枠を有効活用しているということである。
今季からJリーグでは外国人選手の登録制限がなくなり、試合には5人まで出場できるようになった(昨季までは外国人選手3人+AFC加盟国選手1人)。
とはいえ、それをフルに活用できているチームはほとんどない。もちろん、外国人選手に頼らないチーム作りはあっていいが、実際のところは、目ぼしい外国人選手を獲得できなかったり、獲ってきた選手が期待したほど戦力にならなかったりして、本来なら使える枠を持て余しているというのが、多くのチームの実態だろう。
しかし、横浜FMは、川崎戦の先発メンバーを見ても、FWマテウス、FWエリキ、MFマルコス・ジュニオール、DFチアゴ・マルチンス、DFティーラトンと、外国人選手を5人起用。ティーラトンは、Jリーグ提携国=タイの選手のため、外国人枠がまだ1枠空いてはいるが、他チームに比べ、その活用率は高い。今夏、当時チーム得点王だったFWエジカル・ジュニオが骨折で長期の戦線離脱となったときにも、すぐにエリキやマテウスを獲得しており、今季からの規定変更を生かしたマネジメントが、チーム強化につながったと言える。
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