相棒の藤吉信次はヴェルディ新監督・永井秀樹の働きをどう見ているか (2ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 あれから26年経った、令和元年――。

 50代という年齢も近づきつつあるが、昔と変わらず、ふたりはいまもよみうりランド隣にあるヴェルディのクラブハウスが職場だ。

「気心知れた友と、指導者としても一緒に仕事ができることは、本当に幸せ。なかなか実現しないことですから」と藤吉。

 東京のサッカーどころ、町田市出身の藤吉は中学から読売クラブで過ごし、そのままトップチームに昇格した、いわば「生粋の読売っ子」である。高校まで九州で過ごした永井とは遠く離れているので、本来ならば出会わないふたりだが、中学の頃から世代別の日本代表で一緒になることが多く、馬が合った。お互いドリブラーで、肉体的な能力よりもテクニックで勝負するタイプだったこともあったのかもしれない。

 また、子供の頃から読売クラブに憧れて育った永井にしてみれば、藤吉は親友であると同時に、羨望の眼差しを向ける存在でもあった。昔からライバルというよりは良き友で、「いつか同じチームでサッカーがしたい」と願うようになった。

 ふたりの願いは1992年、永井が大学を中退し読売クラブに入ったことで叶った。以後ふたりはヴェルディ黄金期を一緒に支えた。

 そして、ともにヴェルディを離れ、さまざまなクラブに所属したのち、30代半ばになった2005年に、当時地域リーグ所属だったFC琉球で再会を果たした。

 Jリーグを主戦場に活躍してきたふたりにとっては、決して華やかな舞台とは言えなかったが、サッカー人としては忘れ得ぬ貴重な時間となった。

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