本音をぶつけろ。湘南ベルマーレの
選手は議論して成長した
湘南ベルマーレ秘話@後編
2018年、2年ぶりとなるJ1の舞台に臨んだ湘南ベルマーレは苦しんでいた。J1第14節の清水エスパルス戦に2-4で敗れると、リーグ戦3連敗を喫する。
試合後のロッカールームでは、自分自身の不甲斐ないプレーに苛立ったMF梅崎司が、空になった給水ボトルを投げつけた。その行為にGKの秋元陽太が噛みついたことを契機に、選手たちは本音をぶつけあった。きっかけを作った秋元が真意を語る。
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秋元陽太は本音をぶつけ合えない状況に危機感を募らせていた「(第12節で)柏レイソルに負けて、その後(第13節で)ベガルタ仙台にも負けて。2試合とも同じような展開で連敗したんです。自分自身もチームに対して、いろいろと不満を募らせていたところがあって、選手だけのグループLINEに『このままでいいの?』って送ったんです。
でも、返事が来たのは(齊藤)未月だけ。ミーティングをしていても、みんな、自分にばかり矢印を向けていて、自分のことしか言わなかった。だから毎回、チームで話し合いをしていても終わりがないし、結論が出ない。
でも、僕はそうじゃないと思っていた。本当にそれぞれが思っていることを言い合わなければ、ただの仲良し集団で終わってしまう危機感があった。だから、どこかのタイミングで、何かのきっかけで、チームに対して火種をふっかけてやろうと、ずっと思っていたんです」
そこには、秋元が一度、湘南を離れ、2017年に再びチームに復帰したという背景もあった。
「これは今だから話しますけど、僕は最初、2014年にベルマーレへ移籍してきてから、そういう悩みを感じたことが一度もなかったんです。加入した2014年はJ2でしたけど、独走状態で優勝した。2015年も苦しい時期はありましたけど、それでも当時のチームはそれを乗り越えて、ひとケタ順位でJ1を終えることができた。
その翌年、僕は移籍してしまいましたけど、再びJ2に降格した2017年に湘南へ戻ってきたときに、少し雰囲気が緩くなっている印象を受けたんです。
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