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本音をぶつけろ。湘南ベルマーレの
選手は議論して成長した (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 その真相を聞かされた梅崎は、「ということは、僕は陽太に躍らされていたということになりますね」と言って笑った。

 梅崎の性格を理解して、行動を起こした秋元の策士ぶりもさることながら、それを受け入れて、聞く姿勢を示した梅崎の態度もまた、チームをひとつにするきっかけとなった。だから、ふたりの間にわだかまりはない。梅崎が言う。

「その後、陽太からだったか、僕からだったかは覚えていないんですけど、『俺も熱くなってしまってごめん。陽太の言いたいことは話をしてわかったし、俺自身もチームをよくしたいと思っている』というメールを送りました。そうしたら陽太から、『ウメさんの思いはわかっています。だから、ウメさんに言ったんです』って返事があったんですけど、そういうことだったんだって、今、初めて真相を知りました」

 清水戦で思いの丈をぶつけあったチームは、続くJ1第15節のジュビロ磐田戦で1-0の勝利を収めた。秋元が言う。

「その後からですかね。山根(視来)や坂(圭祐)も、守備陣のなかで思っていることを言い合える関係性を築けたのは。ウメさんも曺さんに対して素直に意見をぶつけるようになったりして、チーム全体が変わっていきました」

 そんな選手たちを束ねる曺貴裁(チョウ・キジェ)監督に聞けば、こう教えてくれた。

「実は昨季、選手たちに『このままではダメだぞ』という言葉を、ほぼ言っていないんですよね。それは、あえて言わなかったのではなく、言う必要がなかったから。特別なことをしなくても、J1で普通に戦える意識を選手たちが持っていた。その感覚を僕自身も選手たちと共有できていたから、無理矢理、何かを働きかける必要がなかったんです」

 指揮官が「夏以降はみんながすごく伸びた」という昨年9月から、湘南はカップ戦も含めて一度も連敗していない。その先にルヴァンカップ優勝というタイトルと、J1残留もあった。

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