「今」を生きる41歳・冨田大介は「一度も引退を考えたことがない」 (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 だからこそ、在籍チームでは必要とされなくなっても、他からはニーズがあるはずだと思えたし、チームにとって、プラスになる働きができるという自信もなくならなかったんだと思います。また、それがあったからこそ、トライアウトを受けるにあたっても、ネガティブな感情は一切なく、『また、いろんな人に自分を知ってもらえるチャンスだ』と喜んで参加していた自分がいました。

 っていう話をすると、大概驚かれますけどね。年齢が上の選手ほど、プライドが邪魔をして、トライアウトに参加しない選手も多いですから。

 でも、この世界、過去の実績も評価のひとつだとは思うけど、選ぶのは人ですから。直に僕のプレーを見てもらうことで、人の気持ちに何かが届き、変えられることがあるかもしれない。僕はそれを信じているから、トライアウトを受けてきたし、信じたからこそ、今の自分のキャリアもあるとも思っています」

 そうして、"日本代表"という目標が、いつしか「もっとやれる自分を証明したい」という思いに形を変えた今は、その自信が自分の中から消えてなくなるまでは、現役を続けようと考えている。

 もちろん、理想を言えば、やれる自分を証明した先に、時間をかけて蓄えてきた力が、再び日本のトップリーグ、J1の舞台で通用するのかを試したいという思いはある。年を重ねて、多少体力の衰えや回復の遅れを感じることはあっても、それをカバーするさまざまな武器を備えた今なら、また違った自分を魅せられるかもしれない、という自分への期待もあるからだ。

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