「今」を生きる41歳・冨田大介は「一度も引退を考えたことがない」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text&photo by Takamura Misa

 だが、そんな目標を描きながらも、彼が見据えているのは"今"だけだ。ゆえに、前編(※9月20日配信)の冒頭でも記したように、現在所属する水戸ホーリーホックでの立ち位置を冷静に受け止め、自身のパフォーマンスを冷静に分析することを忘れない。もっとも、これだけ長くこの世界で戦い、いろんな選手を見てきた彼のこと。頭の片隅にはいつも、「プロである以上、ニーズがなくなった時点で引退だ」という危機感を持ち合わせているが、その現実を突きつけられるまでは、ファイティングポーズを取り続けるつもりだ。

「年齢を重ねるにつれて、回復が遅くなったとか、体のちょっとした動きの部分で......若いときに比べたら少し劣ったかな、って感じることは正直、あります。でも、以前は今ほどのサッカー感や思考は備えていなかったこと考えれば、トータルすると意外とトントンじゃないかな、と。

 唯一、歳をとるほど、体を動かすより前に、理屈でいろいろと考えて自分を納得させてしまいがちなので、そこだけは気をつけていますけど。というのも、サッカー選手である以上、まずは体が動くことが基本だから。

 それに......若い選手たちに、自分が何かを要求したり、アドバイスを送ったりするにあたって、自分が動けない、戦えない、では説得力もないですしね。そう考えても、常に動ける自分でいたいし、必要とされたときに応えられる自分でいたい。

 それもあって、最近は体のケアのみならず、食事にも気をつけるようになりました。周りには遅いと言われますが、これまで本能で突っ走ってきて、ようやくこの年になって、その部分を足してみようと思ったということは、僕には今が必要なタイミングだったんだと思います。

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