「今」を生きる41歳・冨田大介は「一度も引退を考えたことがない」
ベテランJリーガーの決断
~彼らはなぜ「現役」にこだわるのか
第5回:冨田大介(水戸ホーリーホック)/後編
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高校生の頃から目指していた"日本代表"だったが、プロになり、J1戦士になり......と、キャリアとしては明確に近づくにつれて、冨田大介(水戸ホーリーホック)はそこを現実的な目標として描けなくなる。
だが、その事実から逃げることなく、真摯に自分と向き合ったからだろう。それによって見えてきた、心の奥底にある想いに気づいてからは、それを基準に自らのキャリアを積み重ねてきたそうだ。
「自分はもっとできる」――年齢ではなく、その自信がある限り、冨田は"今"を戦い続ける――。
41歳になった冨田大介は「今」を全力で戦っている 2010年にヴィッセル神戸を退団して以降、移籍を繰り返すたびにトライアウトを受けてきた冨田大介。それは、「自分はもっとやれる」という考えと、前所属チームの評価が合致しなかったからでもあったはずだが、そのことを、冨田はどう消化していたのか。自信を失い、不安を抱くようなことはなかったのか。
「不安はまったくなかったです。もちろん、おっしゃるとおり、契約がないということは、そのクラブには評価されなかったということだと思います。
でも、僕自身が試合に出ることを目指して自分を磨いてきたことや、課題を克服することに取り組んできたことに嘘はない。周りの評価は人それぞれだし、それも否定はしませんが、少なからず僕自身は、自分がやってきたことが確実に血となり肉となっている実感があったし、サッカーの技術以外の、いろんな知識の広がりとともに、"サッカー"がわかるようになってきたという手応えもあった。
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