安部裕葵は断言。「環境や先輩が僕をサッカーに夢中にさせてくれる」 (4ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

――勝利へのこだわりというのが、アントラーズには強く受け継がれていると言われています。

「勝ち方というのも重要です。でも、アントラーズの選手は、勝つことにすごくこだわりを持っていて、その姿勢が内容に出ているだけで、僕らは内容にこだわろうとしているわけではない。勝つことにこだわっているから、勝つための内容になるんだと思います」

――そのためには、自分のゴールよりも、チームメイトのゴールを優先することもある。

「もちろんあります。だけど、自分で行くべきところもあります。チームのためが自分のためになることもあれば、自分のためにすることがチームのためになることもあります」

――競争という意味では、自身の特長をどう考えていますか?

「僕の特長というのはその試合その試合で変わっていくものだと思っています。そのうえで、まだ僕にないものを身に付けなくちゃいけないですし、あるものはもっと伸ばさないといけない。1年後、5年後、10年後まったく違うプレースタイルになっているかもしれないですし。それはわからない。何がいいのかもわからない。そこは柔軟にやっていこうと思っています」

――プロになって1年半が経ちましたが。

「小さいころから憧れていた職業に就いたわけですが、本当に幸せな仕事に就いたなと、プロになって改めて感じています。自分が頑張って、なにかをすることで、喜んでくれる人がいるというのは幸せですね。学生時代は家族や友だちだけだったけれど、今ではたくさんの人に影響を与えられる。その責任やプレッシャーはもちろんありますが、それはどんな仕事でも同じだと思います。だから特別だとは思わないけれど......」

――それでも、子どもたちに夢を与えられる。

「(そういう)仕事だと思います。小さい子が僕らに会うだけで、目をキラキラさせている。僕自身、子どものころに憧れの選手がいなかったので、そういう経験がない。だから、プロになって初めて『そういう仕事なんだ』と思いました。こういう立場にいることを感謝して、やっていかなくちゃいけない」

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