安部裕葵は断言。「環境や先輩が僕をサッカーに夢中にさせてくれる」 (2ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

「多少(ボールを)回させても、鹿島のセンターバックは、真ん中2枚がどっしり構えている。そういう雰囲気があるけれど、第1戦の試合ではそれがなかった。ワンちゃん(犬飼智也)やマチ(町田浩樹)は、昔の(大岩)剛さんや岩政(大樹)さんみたいに数多くの経験があるわけじゃないけれど、鹿島のセンターバックって、Jリーグのほかのチームとは違うと思うんだよね、俺は。それを助けたい。DFラインをしっかり締めること、雰囲気」と内田は言い切った。若いセンターバックが醸し出すべき"雰囲気"を作ろうと考えたのだろう。それは彼が鹿島でなすべきひとつの任務でもあった。

「自分が見てきた、上の人たちのプレーをそのままやっているだけです。アントラーズの伝統というか、そういうのはやっぱり、伝えたり、表せなければ、もったいない。下に伝えるというのは、自分がやらなくちゃいけない仕事だと思っている」

 球際で激しく戦い、タッチを割ったボールが相手ボールとなれば悔しがった。小さなディテールにこだわり、闘志を表現した。

 試合の行方を決定づける3点目は、後半27分にセルジーニョが決めた。

「自分というよりは、チームとしてその3点目をとれれば楽になるので、それを考え、みんなでプレーしていた。たまたま自分のところにこぼれてきたので、それを決めることができた。こういうプラスの結果を全員が求めていたので、それができて良かったと思います」

 エゴよりも忠誠心や献身性を大切にするセルジーニョの姿勢が表れるコメントだった。

「内容や結果に波がある。俺たちには地力がまだない」

 内田はそうクラブの現状を口にする。同時にこうも言った。

「今日みたいな試合を続けていくと、気づいたときには勝ってきたな、タイトル獲ってきたなって、なるチームだから」

 9月18日、いよいよACL準々決勝セカンドレグの対天津権健戦が行われる。異例の直前の会場変更でマカオでの開催となり、ピッチを含めて、スタジアムなどの環境面での不安も少なくはない。それでも、2-0と快勝した第1戦を繋ぐ試合にしてほしい。

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