ロベカルがプレゼントした一時的熱狂。Fリーグは無策で無駄にするな (4ページ目)

  • 河合拓●取材・文・撮影 text & photo by Kawai Taku

 前半終了間際、日本代表候補のFP堀内迪弥(みちや)に同点ゴールを許したFリーグ選抜は、後半もチャンスはつくるものの、なかなかゴールを挙げられない。だが後半9分、ロベルト・カルロスがふたたびピッチに立つと、その約2分後だった。

 自陣からボールを運んだロベルト・カルロスは、左サイドにアウトサイドでパス。「練習からアウトサイドで強いボールを蹴っていたから、みんなで『ああいうパスが来るぞ』と話していた」というFP北野聖夜がパスを受けて、縦に仕掛ける。深いエリアから浮き球をゴール前に折り返すと、そこに飛び込んだのがロベルト・カルロスだった。利き足とは逆の右足で合わせると、ボールはゴールに突き刺さった。空港での宣言どおり、「悪魔の右足」での一発に会場のボルテージは最高潮に達した。

 Fリーグ選抜は、このロベルト・カルロスの2ゴールで2-1と勝利し、エスポラーダ北海道とヴォスクオーレ仙台を上回って8位に浮上。さらに45歳のロベルト・カルロスのゴールは、これまで甲斐修侍が持っていた44歳109日のFリーグ最年長ゴール記録を更新して、歴史に刻まれることとなった。

 圧巻の決定力を示したロベルト・カルロスは、右足でのゴールが26年間のキャリアでふたつ目となるレアなゴールだったことを明かし、「強度、集中力、モチベーションの高いゲームのなかで、ゴールを決められたので幸せでいっぱいです」と喜んだ。その活躍ぶりは、ふたたびYahoo!のトップにも掲載されるなど大きなニュースとなった。

 また、キャプテンの三笠貴史が「僕らや高橋(優介)監督に対しても、すごくリスペクトをもって接してくれましたし、勝者のメンタリティをすごく感じました。スーパースターだから特別という感じはなく、いつもチームにいるような感覚で、世界一の選手はそういう選手なんだと肌で感じられました」と話すように、1試合限定ながらチームメイトとしてロベルト・カルロスとともにプレーしたFリーグ選抜の面々が受けた刺激も大きかった。

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