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激変する鳥栖。真価が問われる
「トーレス・シフト」の片鱗が見えた (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 ただ当然ながら、トーレスはそれしきでは満足しない。

「バックラインの裏に出せ!」

 時間を追うごとに、指を差しながら何度も繰り返すようになる。

 ハーフタイム、焦れたのだろう。トーレスは珍しくチームメイトたちに「角度をつけたところから裏へ」と注文。瞬間的にマークを外しており、クロスのタイミングさえ合えば、ゴールまで持ち込める自信があったに違いない。スペイン語で『Desmarque(マークを外す)』という動きは、トーレスの真骨頂のひとつだ。

「(トーレスに関しては)運動量は少ない、というのはビデオで見てわかっていました。暑さとか、しんどいコンディションの中で、フィットさせようとしているんだろうけど、100%には及ばない。今まで見てきた(欧州での)彼のプレーと比べると......。それでも、周りの選手とのコンビネーションから決定的なシュートを打てるので、やはり怖さはありましたね」

 磐田の名波浩監督は、忍び寄るような不気味さを感じていた。

 そして後半10分、「神の子」と言われる片鱗を見せる。DFキム・ミンヒョクが蹴ったアバウトなクロスに、いち早く反応し、マーカーの裏でボールを受ける。胸で完全にコントロールしたあと、飛び出してきたGKの鼻先を抜くようなループシュート。完璧なプレーに見えたが、磐田のGKカミンスキーの「プレーを読んだというよりは、自然に体が反応していた」という奇跡的なセービングで、ゴールはならなかった。

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