2018.07.29

激変する鳥栖。真価が問われる
「トーレス・シフト」の片鱗が見えた

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Nikkan sports/AFLO

「やっぱり、うまいし、(体が)デカイですね。自分はマッチアップするポジションじゃなかったですけど、なかなかボールを奪えない。(前線の選手として)ボールが収まるっていうのは大きいっすよね」

 ジュビロ磐田のMF田口泰士はこの夜、対戦した敵FWに塩を送っている。サガン鳥栖の元スペイン代表、フェルナンド・トーレスについての印象だ。

 鳴り物入りで入団したトーレスだが、そのコンディションは完調には程遠い。例年、ラ・リーガ(スペインリーグ)で5月末にシーズンを終えた選手は、新シーズンに向け、7月中は涼しい場所で体を慣らす期間。記録的な猛暑と蒸しあがるような湿気の日本で、すでに公式戦に出ているというのが例外的といえるだろう。

 それでも、トーレスは世界有数のストライカーとしての一端を感じさせている。

第18節の磐田戦で先発出場したフェルナンド・トーレス 7月28日、ベストアメニティスタジアム。トーレスは鳥栖の選手としてJリーグ初先発を果たしている。前半は、チームとしてボールを持ち出せなかったこともあって、単発のプレーに終わる。パスは出てこず、受けて出しても、今度はリターンがない。

 しかし、業を煮やしたのか。前線でボールを受けると、相手を懐に飛び込ませずにキープ。引きつけてからドリブルで抜け出し、ゴールまで進撃しようとするなど、磐田のセンターバックを牽制する。パワーとスピードを要所で用いることで、マーキングを徐々に乱れさせていった。