トーレスだけじゃない。異色のMF
加藤恒平は、鳥栖巻き返しのキーマン (2ページ目)
――ブルガリアでは半年間ほど試合に出場できない苦渋も味わいましたね。
「そういうことも覚悟はしていたのですが、やはり試合に出られないのは選手としてマイナスな部分が大きい。一方で、これは語弊があるといけないんですが、試合に出る出ない、試合に勝つ負けるということに一喜一憂はしませんでした。僕は『自分が成長すること』がもっとも重要だと考えています。1試合1試合に重きを置きすぎると、『試合に出ること』自体がモチベーションになってしまう。
試合に出て満足、勝って慢心することがないように意識していました。『自分が成長したい』という思いが根底にあれば、極論ですが『細かいことはどうでもいい』とも思えるようになっていましたね。僕は器用ではないので、まず考えるのは自分のこと。自分が成長しないとチームに貢献できないし、勝利を掴むことはできませんから。プロとして試合には出たいですが、それよりも大切な芯が僕のなかにあります」
――そういった考えを持つようになったのはいつ頃ですか?
「ポーランドでプレーしているときですね。監督交代が多くて出場機会に恵まれないこともあったんですが、そこで『自分にとって何が一番大切か』を見つめ直しました。僕のゴールはポーランド、ブルガリアでプレーすることではない。いつも『もっともっと上に行きたい』と思っていましたし、それは今でも変わりません。目標に向かってやるべきことを積み重ねていけば、自ずと結果がついてくると信じています」
――ヨーロッパでプレーすることに強いこだわりを感じますが、その理由は?
「僕はずっと、チャンピオンズリーグ(CL)に出ることを目標にサッカー人生を歩んできました。そのためには、ヨーロッパのクラブにいることが最低条件。年齢的には29歳になり、周りから見れば難しいと映るかもしれませんね。所属先が決まらないときも『CLに出る』と言い続けて笑われてきましたが、僕としては周りに何を言われても、CLへの思いが捨てられない。もちろん、今は鳥栖で活躍することを第一に考えていますが、また欧州でチャレンジしたいという気持ちは持ち続けています」
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