ついに「裏の顔」を見せたジェフ千葉。
勝ち点確保へ、なりふり構わず (3ページ目)
こうして、引いて守るという新たな戦術を選択肢に加えた千葉は、ついに第13節の大宮戦で、今季アウェー初勝利を挙げるのである。増嶋が語る。
「チーム全体としてやることがはっきりしていたので、以前のように後ろ向きではなく、前向きで(相手の攻撃を)つぶせる回数が増えた。(DFが前向きでプレーすることで)ボランチがプレスバックできるようになり、センターバックとボランチの関係でうまく守れていることには手ごたえを感じる」
昨季から一貫して追求してきた自分たちのスタイルを変えてまで、結果を求めた試合である。もしも敗れていれば、悪い流れが一層加速していた可能性もある。
それだけにこの試合は、千葉にとって今季の行方を大きく左右するほどの意味を持っていた。MF矢田旭は「戦い方は違っても、ゼロに抑えたことは自信になる。ジェフの特長として攻撃的に戦って大勝することを期待されるかもしれないが、守備が安定すれば強いチームになれる」と、胸をなでおろす。
エスナイデル監督もまた、「自分たちはより実践的、効率的にプレーすることを学び始めているところだ」と語り、新たなオプションによって得た勝ち点3を喜んだ。劣勢の展開が続いた薄氷の勝利ではあったが、これまでの悪い流れを変えるという意味では、非常に大きな1勝である。
とはいえ、この現実路線で最後まで戦い抜けるとは考えにくい。大宮戦を見ても、無失点で終えられたことが不思議なくらいにピンチは多かった。リトリート策はあくまでも一時しのぎのオプション。根本的な問題の解決にはならない。アルゼンチン人指揮官も「順位表がそうさせた(戦術を変えさせた)が、自分たちがやりたいことをやめた、ということは一切ない」と語る。
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