2018.05.07

10戦無敗→3連敗。ヴェルディは
ダメか…の声にスペインの名将は?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 5月6日、味の素スタジアム。試合終了の笛が鳴ると、東京ヴェルディのスペイン人指揮官、ミゲル・アンヘル・ロティーナは、ドカッとベンチに座り込み、腕を組んだ。相手監督が挨拶に来たときだけ握手をかわすために立ち上がったが、再び座り込むと、つかの間、ひとりで沈思黙考していた。

東京ヴェルディで2シーズン目となるミゲル・アンヘル・ロティーナ監督 ロティーナは世界最高峰のラ・リーガにおいて、オサスナなどを1部昇格に導き、エスパニョールではスペイン国王杯に優勝し、セルタではチャンピオンズリーグの決勝トーナメントを戦っている。その手腕に疑いの余地はないだろう。
 
 しかしスペインの名将の日本での挑戦は、まだ道半ばである。

 昨シーズンからJ2東京ヴェルディを率いるロティーナは、着々とそのフットボールを植えつけ、その名声を高めている。「魔法」といわれる采配の中身は、基本の徹底だった。

 まずはポジショニングを改善し、これによって守備の破綻は大きく減っている。セカンドボールも拾えるようになったし、相手よりもいい状態で1対1に臨む機会が増えた。ポジション的優位を高めることで、前年18位だったチームを2017年は5位に押し上げ、昇格プレーオフにも進出している。

 顕著な変化が出たのは、スペイン語でいう「Salida de Balon」だろう。直訳すると「ボールの出口」となるが、攻撃の組み立てを指している。どのようにボールを運んでいくべきか。ゴールから逆算して正しいポジション、取るべきポジションを徹底。戦力的に恵まれているとは言えないチームは、「正しいプレー回路」を手にすることで優位に立っている。

 そして今シーズンは開幕戦でジェフ千葉に勝利して以来、4月21日まで10戦負けなしを続けていた。当然ながら、大いに期待が高まった。