久保建英が「FC東京の顔」になってはダメだ。福田正博がクギを刺す (4ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 長谷川監督も、久保がJ1で90分間プレーできるレベルにあることはわかっているはずだ。それでも、FC東京の現在のチーム状況を考えたうえで限定的な使い方をしているのだろうし、私も今の起用法がベストだと思っている。

 また、メディアが彼に過度な期待をかけてしまっている部分もある。そうやって注目されていることに久保自身も気づいているだろう。他の選手との調和を考えて「注目されすぎて居心地の悪い思いをしているのではないか...」とも想像してしまう。

 久保は、来年6月に18歳の誕生日を迎えたら、バルセロナに戻るという可能性も十分ある。日本では注目度が高く、たぐいまれな才能を持つと言われている久保も、欧州のトップリーグ、それもバルセロナに戻るようなことがあれば、同世代に彼と同じかそれ以上の才能の選手は数多くいるわけで、"ワン・オブ・ゼム"の選手になる。

 それはどういうことかというと、彼への注目度がJリーグにいるときのような高いレベルではなくなり、もっと厳しい競争にさらされるということ。だからこそ、さらに選手として成長できるチャンスがあるともいえる。バルセロナのような世界最高峰のクラブであれば、より質の高いトレーニング環境、より激しい競争のなかで、高いレベルのサッカーに集中できる環境が整っていることは事実だ。

 そう考えると、今のようにJリーグでのある種の"特別扱い"が続いてしまうことは、久保の成長を妨げることにつながりかねない。ピッチ内外において、久保がさらにステップアップしていく環境が整ってくれることを願うばかりだ。

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